Voyager

っか

「底は無いんです」

初めからそう言ってくれれば

寧ろ逆に安心

その場を楽しむ方法なんて

実は幾らでも在るはず

とか言いつつも

本当は

少しだけ怖いのです

ただそれはきっと

本当の楽しみを

ふたりで知ろうとしている時なのだと

僕は思うのです
 
あぁ

これほど心地よい

「沈黙」を

他には知らない

目を閉じれば

まるですぐ隣に
 
体を重ねられないなら

言の葉を重ね

指を絡ませられないなら

やはり言の葉を絡ませる

それは

寂しさを紛らわすための

麻酔なのではなく

寧ろとっておきの

魔法なのではないかと

そう想いながら

そっと温もりを懐かしむのです
 

1

1たす1で2

も、そりゃあいいけど

1かける1で1

これ

もっといいと思わない?
 
その人は言った

ごめんね、何もできないけど

ううん、それでいいんだ

本当に辛くて本当に深い部分てのは

最後は本人にしか動かせない

そんな

何もできない

という限りなく透明な言葉が

ありえないほどの安心感を僕に
 
呼ばれてるから
行くのです

呼ばれてる気がして
行くのです

呼ばれてると思いたくて
行くのです

あと少し

あと少し
 
手探りで見つけた紙切れに

手探りで見つけた幸せを

手探りで見つけたペンで

手探りのまま書き殴って

秘密のポケットへそっと
 
今聞こえた?

と尋ねて

「え?」

と返されることが

そのまま伝わってた時よりも

ほんの少しだけ

嬉しかったりするのはなぜ
 
ただその時交わすだけの約束なら

要らないのかもしれないけど

とにかくまず約束を「交わす」ことで

深まっていく絆だって

きっとある
 
自分のことば
他人のことば

昨日のことば
今日のことば

やさしいことば
冷たいことば

長いことば
短いことば

ひとりのことば
大勢のことば


どれが巻きついてる?

どれがほしい?

どれが本当?

簡単になんて
わからない

だから
必死に伝え合うんだ

君が思ってるほど
君の声は小さくないし
君の喉は弱くないよ

よし、まず深呼吸から。
 
つまんねぇ

くだらねぇ

かったりぃ

ぶっちゃけどーでもいい

そんな心持で

空を眺めても

それでもあの雲はやさしく見え

それでもあの雲はやさしく見え

自分も雲になってみたいと

思いつつ

あぁその眼差しは

いつか来る「明日」をとらえてる
 
ドアの向こうに

また新たなドア

でも心配しないで

君には開ける力がある

ちょっと強張った顔つきでいい

震える手つきでいい

目の前のドアノブに

握手しよう

きっとそれは

自分自身と握手することなんだ

「またひとつよろしく」

ほら

もうこっちのもんさ
 
幾重にも連なる桜のカーテンを

たった二日で

桜の絨毯に変えてしまうなんて

雨も風も

なかなか思い切った織物職人じゃないか
 
雲を流し

花びらを舞わせ

髪を揺らし

さざなみをたて

君は自分の訪れを

そんなに忙しく皆に知らせたいの?

分かってるって

僕も「宣伝」手伝うよ

気持ちよく昼寝してれば

いいんだっけ?
 
いろんな言葉を手紙に載せて
一羽の鳩に托す

気まぐれなその鳩は
誰に似たのか
しょっちゅう寄り道をしてばかり

いつも何かしら「おまけ」がくっついて
僕の手紙は届けられるらしい

「この前綺麗な四つ葉がついていたね」
「あ、そうだろ?」

お利口なやつめ
悔しいから礼はまた今度
 
あぁ

一瞬でも時が止まってくれたら

でもそよ風はそのまま

止まないでほしい

木漏れ日もそのまま

降り注いでいてほしい

そんなわがままを思い浮かべながら

目を閉じる
 
枯れ木に花を咲かせよう

みんなで花咲か爺さんになろう

満開にしたっていい

ひとつだけ咲かせるのだっていい

あなたのそばに

あなたの中に

花咲か爺さんはいますか?
 
何気ないタイミングで

何気ない指の絡ませ方で

何気ない力の加減で

何気ない重ね方で

寧ろ「確かなもの」を生み出せるんだ



とかってカッコイイことも言ったりするけど

要は

あなたの手が好きなんです
 
時々ふとしたタイミングで
互いの波形がぴったり重なって

そこから幾多の倍音が生まれ
その倍音だけでその日一日が

まるで小さな演奏会のようになっていく

招待状もチケットもなし
突然始まる不定期演奏会

次の公演の時には
どんな衣装をまとっているだろう

どんな音色を奏でているだろう
 
満たされて

満たされて

それでもなお満たされたとき

言葉なんてすっ飛ばして

あなたの元へ一番乗りします

そんなフライングはいかがですか?

僕は

大好きです
 
早送りも

巻き戻しも

停止もできない

ただ再生しかできない

そのビデオデッキに

自分とあなた宛のビデオレターを

そっと差し込む
 
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